++ 外務省が国民を惑わすような説明をしていいのか 日米安保条約 ++


2011.11.3、2007.5.22、2007.1.24初版

外務省が国民を惑わすような説明をしていいのか 日米安保条約


たまたま見つけたページですが、
あいまいな表現で、さもアメリカが日本を無条件で守るかのような書き方がしてある外務省のページ
を、見つけたのでその中身を考察してみます。
念のため証拠を保存すべく、ホームページのスナップショットを貼っておきます。↓

ここです--> http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/qa/05.html

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非常に巧みな書き方がしてあり、思わずうなってしまいました。
昔、流行ったことがある、
お年寄りに的を絞って高額な布団を買わせるあの催眠商法の手口を思い起こしました。
とにかく「うまい!」の一言です。
この文章だけを読んだ人は、誰でもひとつの認識に到達することでしょう・・・

「アメリカが日本を守ってくれる」

と、間違いなく思い込むと。

では、順番にその恣意的な書き方を解剖していきます。
日米安保条約の中で、もっとも重要な条文が第5条です。
そのなかでも特に重要な「条件」にはまったく触れずにストーリーを進めていることに、
悪意すら感じます。
もうだまそうとしているとしか思えません。
 日米安保条約では、日本が武力攻撃された場合、米国は日本を守る義務を負っていることはご存じのとおりです。
いきなりでました。

なにか言い切った物言いですが、この文章の主語はなんでしょうか。

米国が主語となり、それを受けて「負っている」で結んでいます。
肝心の「日本を守る」という中身には踏み込まずに、さもこれが絶対的であるかのような書き方になっています。
で、これもすごいと思いますが、
最後に「<B>ご存じのとおりです</B>」とゆって、
国民はだれでも知っているかのような「国民の皆さん、知ってますよね!」と暗示を掛けています。
これなんか催眠商法の話術といっしょです。

日本が武力攻撃を受けた場合、日米両国が共同して迅速に対応し、侵略を速やかに排除しなければなりません。
 そのためには、非常事態に備えていつでも対処できるように体制を整えていなければなりません。
さらに、侵略を未然に防止する、その抑止力としての日米安保体制をより有効に活かすためには、
米軍が日本に常時駐留して、絶えず訓練を重ね万全な体制を敷いておく必要があります。
冒頭で催眠に成功しているわけですから、
後は畳み掛けるように「・・・しなければならない」「・・・しなければならない」「・・・必要がある」と機関銃のように連射しています。
もうここまでくると完全にその気にさせられてしまいます。

この文では執筆者は日米安全保障条約の第5条を頭に思い浮かべて書いている節があります。
最初の文でそれを想起がされます。
具体的に日米安全保障条約の第5条全文を明記して、
それに基づいて切々と理論を展開すればいいのに、それをやっていません。
もしその全文を出せば足元をすくわれることは明らかなので、
このようにあいまいな書き方に終始していると見ています。
とてもじゃないが、出せないということです。

さらに続きます。
日本が米軍の使用する施設・区域を提供しているのは、日本の防衛のために自ら選択した日米安保体制の目的を果たすためなのです。
つまり、「米国は日本を防衛する義務を負い、日本はそのために米国に施設・区域を提供する義務を負う」。
このことが日米安保体制の最も重要な部分といえるでしょう。
また日米安保条約では、米軍が、日本だけでなく極東地域の平和と安全を維持するために施設・区域を使用することを認めています。
これは、日本の安全が極東地域の平和と安全に深くかかわりがあるという、日米安保体制の認識によるものです。
今度は第6条を想定しているはずです。

これも上の文章と同じ書き方の手法を使い、条文を出さずにあいまいな書き方になっています。
・・・つまり、「米国は日本を防衛する義務を負い、日本はそのために米国に施設・区域を提供する義務を負う」。
このことが日米安保体制の最も重要な部分といえるでしょう。
と、なぜか断言を避ける文言で結んでいるのはどういうことでしょうか。
わけ判りません。

このあいまいな文は第5条と第6条をあわせてまとめたような書き方になっているのですが、
条文には限定条件が付いておりまして、
しかもこんな義務という法律用語も一切使っていませんし、
このように決め付けるような書き方はしていません。
なので、それに抵触しないようにこのように最後の結びで「・・・いえるでしょう」と、責任逃れをしています。

そもそも法律とか条約は必ず断定した結語になります。
なので、この結びを見ただけでも をゆっていることがわかります。
いずれにしても、相手がある条約ですので、
日本側だけが勝手に条文の意味を拡大解釈して説明していたとすると、アメリカからクレームが来るはずです。

このQ&Aをそのまま英文に訳してみせたら間違いなくどやされます。
『どこに「米国は日本を防衛する義務を負い・・・」、と書いてあるんだ! 行動するとしか書いてないはずだ!!』と。

アメリカが怒るのも無理はなく、
単にアメリカが自国(アメリカ)が危ないと自分で判断したした時に自国(アメリカ)を守るために行動するとしか書いてないわけですので、
どうしてこれが日本を防衛する義務を負っていることに変化するのか!?と、
猛烈な反撃に遭うことは必至でしょう。

で、まだまだ文は続いています。
しかし、もうこれ以上吟味しても時間の無駄と思うのでこれで終わりにしますが、
それにしてもこういう恣意的な文章を外務省が公開していいのでしょうか。
きちんと条文に則って、かつ事例をあげてわかりやすく説明する義務が外務省にはあると思います。

外務省のホームページの全文

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/qa/05.html

日米安保体制 Q&A

問5.日米安保体制の中で、日本は何をすべきなのですか。
(答)  日米安保条約では、日本が武力攻撃された場合、米国は日本を守る義務を負っていることはご存じのとおりです。
日本が武力攻撃を受けた場合、日米両国が共同して迅速に対応し、侵略を速やかに排除しなければなりません。

 そのためには、非常事態に備えていつでも対処できるように体制を整えていなければなりません。さらに、侵略を未然に防止する、その抑止力としての日米安保体制をより有効に活かすためには、米軍が日本に常時駐留して、絶えず訓練を重ね万全な体制を敷いておく必要があります。日本が米軍の使用する施設・区域を提供しているのは、日本の防衛のために自ら選択した日米安保体制の目的を果たすためなのです。

 つまり、「米国は日本を防衛する義務を負い、日本はそのために米国に施設・区域を提供する義務を負う」。このことが日米安保体制の最も重要な部分といえるでしょう。
 また日米安保条約では、米軍が、日本だけでなく極東地域の平和と安全を維持するために施設・区域を使用することを認めています。
これは、日本の安全が極東地域の平和と安全に深くかかわりがあるという、日米安保体制の認識によるものです。

 ところで、日本に駐留する米軍への一部経費負担(接受国支援:ホスト・ネーション・サポート)について、「そこまでやるのは不平等ではないか」との意見も耳にします。
 しかし、いざという時、いつでも日本の防衛のために駆けつけることができる部隊を維持していることは、米国にとって大きな財政負担になっています。
日本は日米安保体制によって平和と安全を確保できるというメリットを得ている以上、米軍の駐留経費に対する適切な負担は、日米安保体制の目的を円滑に進め、その効力を十分発揮させるために必要な措置といえましょう。
参考までに日米安保条約第5条と第6条を掲載します。

    第五条

     各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

     前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。



    第六条

     日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。

     前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。


詳しくはこちらで--> 日米安保条約 アメリカが日本を守るって!?    ホームへ
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